板野酒造場は昭和9年に、岡山市の西「備前一宮」で創業しました。桃太郎伝説の元になった吉備津彦神社や吉備津神社、古墳が数多くあるところです。

一宮は古くから、桃やマスカット、ブドウの生産が盛んで、春、桜の花が咲く前は、白い桃の花でいっぱいになります。その風景はまさに桃源郷。万葉の時代から名醸地として名をはせた吉備の国の中心地に、酒蔵はあります。

私は滋賀県甲賀郡の蔵元さんで酒造りを学び、その後、当社の杜氏さんについて酒造り修行をしました。どちらの杜氏さんも但馬流（兵庫県の北のあたり）でしたので、私も但馬流です。

今も、”端麗辛口の酒を”と言われる方は多いようですが、板野酒造場の”きびの吟風”は、心のこもった味わいのあるお酒を目指して造っております。これからも誰がなんと言おうと、きびの吟風の味を守っていきたい。それが地酒の良さだと思います。

酒造りの工程は一つ一つが完成品であり、少しでも手を抜くとそれは間違いなくお酒に現れます。その酒造りの一つ一つを、心をこめて大切に大切に醸していきたいと思っております。

お客様に「この酒はうまい」と言って飲んでいただいた時は、本当にうれしいです。これからも、より多くの客様にそう言っていただけるよう、がんばっていきます。

板野酒造場 店主板野 雄一郎